編集委員長のあいさつ

ニーズにあう生きた情報の発信をめざして

この度、日本亜鉛栄養治療研究会の機関誌『亜鉛栄養治療』の基礎領域の編集委員長を、臨床領域の内田季之先生と共に引き受けさせてい ただくこととなりました。これまで編集委員長は川口雅功前編集委員長(現会長)がお一人で担われていましたが、今回より臨床領域と基礎 領域それぞれに編集委員長を設けることとなりました。基礎領域を担当いただく編集委員はこれまでと変更なく、酒井久美子先生(大分大学)、大橋若奈先生(慶應義塾大学)、橋本彩子先生(京都女子大学)に務めていただきます。今回編集委員の交代はありませんが、これは、臨床領域に比し基礎領域の原著論文が投稿される機会が少ないため、編集委員のこれまでの経験を活かし、今後新たな企画などを開拓していくため、敢えてそうしましたことを申し添えさせていただきます。

今後の機関誌では、先代の川口先生の方針を引き継ぎながら、臨床分野の内田先生と共に、きめ細かく読者のニーズに応える企画を推進したいと考えております。これまで同様に、学術集会での講演の内容を論文として掲載するほか、亜鉛の研究に関する原著論文、症例報告、小野靜一先生にご寄稿いただいているマンガ付のコラムなどを掲載します。新たな企画としては、継続性をもったレクチャーシリーズなどを企画したいと考えています。また、今号からスタートした、海外の留学先や赴任先からの紀行文のような新たなコラムや編集委員が担当する最近発表された論文の簡単な解説な ども掲載し、誌面を充実させたいと考えております。

日本亜鉛栄養治療研究会は、基礎領域の会員も増えているとはいえ、まだまだ臨床領域の会員が多い状況です。したがいまして、本機関誌においては、臨床領域の皆様にご理解いただけるような基礎研究の紹介が最もニーズの高いものだと考えております。皆様ご存知の通り、近年の研究によって亜鉛の生理機能は次々と解明されており、今後もさらなる発見が続くものと期待されます。新編集委員では、皆様のニーズにあった、生きた情報を発信していきたいと考えております。日本亜鉛栄養治療研究会は基礎領域の研究者と臨床家とが一同に集まって議論ができるたいへん貴重な研究会です。本研究会の活動がさらに活発化できるよう編集委員一同力を合わせて尽力して参る所存です。読者の皆様には、企画や分担執筆をお願いさせていただくことがあるかと思いますが、何卒ご協力の程よろしくお願いいたします。

  • 2022(令和 4)年 10 月吉日
  • 編集委員長(基礎領域)
  • 京都大学大学院生命科学研究科 神戸大朋

情熱と根気の論文執筆のお手伝いを

この度、機関誌『亜鉛栄養治療』臨床領域の編集委員長を拝命いたしました。臨床領域の会員のみなさまには、各疾患の血清亜鉛値や毛髪など各検体での亜鉛値 、亜鉛欠乏症の病態 、亜鉛製剤の効果などに関して、症例報告、原著論文、レビューの論文をご投稿いただけることを願っております。

私自身は、妊娠と微量元素(特に亜鉛)の関係をテーマに浜松医科大学で基礎研究・臨床研究をしたこともありましたが、なかなか結果が 出ず、発表しても賛否がわかれるなど、かなり苦労した経験があります。そのため、一般病院で臨床を頑張ることになりました。その後 、当時本研究会に協賛されていた製薬会社の方が、亜鉛を添加した人工羊水作製についての私の発表をご覧になられて勤務先まで訪ねてこ られ、「亜鉛トーク」で盛り上がったことがきっかけで、亜鉛含有胃潰瘍治療剤を使用するようになりま した。さらに妊娠症例で血清亜鉛値などのデータや亜鉛投与の影響を検討する臨床研究を行うこととな り、初代会長の宮田學先生をご紹介いただき、学術集会で講演をする機会を与えていただいたのが、本 研究会とのご縁のはじまりでした。学術集会では、参加していた研究者のみなさまからとても暖かいお言葉をいただき、感激したことをよく覚えております。

論文執筆には情熱と根気が必要で、多大なエネルギーを要します。『亜鉛栄養治療』では査読も実施し ており、ご投稿いただいた論文は査読者一同で内容を吟味しますので、必ずブラッシュアップされます。 亜鉛について研究する研究者・臨床医に敬意を表し、研究内容 、臨床経過の考察がさらによいものになるようお手伝いしたいと思っております。この機関誌を皆様の施設でご覧いただき、広めていただけたら幸いです。今後とも宜しくお願い申し上げます。

  • 2022(令和 4)年 10 月吉日
  • 編集委員長(臨床領域)
  • 浜松医科大学医学部付属病院 周産母子センター 内田季之

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