会長のあいさつ

亜鉛の重要性を日本と世界へ

本研究会は2010年に初代会長の宮田 學先生が、「近畿亜鉛栄養治療研究会」として立ち上げられました。
1年のうち最も寒い2月と、最も暑い8月の第一土曜日に、基礎医学者と臨床家が日本各地から一堂に集まり、亜鉛に関する講演、質疑応答、そして懇親会で情報交換し、今後の臨床や研究のアイデアをもちかえるという、 貴重な学びの場としての学術集会をつづけてきました。

 「亜鉛は体内で多様かつ重要な役割を果たす必須微量元素である」ことは、研究会の仲間はだれもが理解していますが、設立当初は、いざ研究会の外に出てみると、とくに臨床家のあいだでは、亜鉛についてまだまだ認識されていない感がございました。しかし、宮田 學先生の地道な活動により少しずつ会員が増え、各地域に支部会が組織されるようになり、亜鉛の重要性が少しずつ理解されるようになってきました。

 2016年からは、徳島文理大学薬学部教授の深田俊幸先生が第2代会長に就任されました。深田先生のその卓越したリーダーシップにより研究会はさらに発展し、「日本亜鉛栄養治療研究会」に改名、国際亜鉛生物学会(深田先生は現会長)とのコラボレーションも実現しました。事務局も、発足当初から本研究会を影で支えていただいたエイト工房(八柳様、たいへんお疲れ様でした)から、京都通信社に円滑に移行されました。

このように研究会の体制は大きな変貌を遂げました。学術集会には、コロナ禍以前の対面開催では150名超、リモート開催では400名超の参加があります。さらに、近年の亜鉛製剤の保険収載も追い風となり、臨床医のあいだでは亜鉛に対する関心が高まりつつあり、本研究会の役割はより重要になるものと期待しています。

そうした流れのなかで、2022年4月から第3代日本亜鉛栄養治療研究会会長を拝命させていただきます。皆様の研究活動、日々の臨床に少しでもお役に立てるように尽力する所存です。本研究会の会員には、亜鉛に興味をもたれている市民の皆様もおられます。最新の亜鉛の研究や臨床について、一般の方にもわかりやすい勉強会の機会を設ける予定です。いろいろとご指導を賜りたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

中国に「面壁九年」という諺がございます。達磨大師が中国の少林寺で壁に向かって九年間座禅を組み、悟りを得ることができたという故事で、なにごとも専念すれば、最後には目標を成しとげられるという教えです。亜鉛研究はまだまだ発展途上の領域であり、多くの皆様のご支援をいただきつつ、皆様とともに一歩ずつ頂上に向けて歩んでゆきたいと思います。今後ともご指導のほど、よろしくお願い申し上げます。

  • 2022(令和4)年3月吉日
  • 日本亜鉛栄養治療研究会
  • 次期会長  川口 雅功

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