会長のあいさつ

新春を迎えるにあたり、謹んでご挨拶申し上げます。旧年中は、会員の皆様に支えられ、無事に学術集会を2回開催と機関誌も発行することができました。心より感謝申し上げますとともに、本年も変わらぬご指導を賜りますようよろしくお願いいたします。

昨年は人件費や物価の高騰の影響を受け、研究施設、大学、病院・診療所などの医療機関において安定した経営が困難となり、受難の一年でありました。昨秋には高市内閣が発足し、物価高対策や診療報酬が3.09%に増額される方針が示されましたが、一方で薬価が引き下げられることとなり、三方良しというわけにはいかないようです。

今年の干支は午年であります。昔からの迷信により出生率が下がると言われております。妊娠、出産、生殖において重要な働きをしております亜鉛ですが、不足している方が多いのが現状です。「亜鉛が日本の将来を支える」という気概で、今年も啓蒙活動に取り組んで参りたいと思います。

本研究会は、基礎・臨床・栄養など各領域の垣根をこえ、幅広い分野で活躍されている研究者や臨床家、亜鉛に関心のある市民の皆様から成っております。研究会を通じて一堂に会し、亜鉛のもつ様々な生命現象の解明や、臨床・栄養領域における体内亜鉛量の評価、治療薬やサプリメントの有用性の検討などについて多方面から議論を深めることで、亜鉛研究の発展および亜鉛に関する啓蒙活動に寄与することを本研究会の使命としております。

2010年に初代会長の宮田 學先生が「近畿亜鉛栄養治療研究会」として創設され、二代目会長の深田 俊幸先生が「日本亜鉛栄養治療研究会」に改名、さらなる発展に貢献されました。基礎・臨床領域ともに亜鉛に関する発表や論文の数は年々増加しており、最近はメディアでも取り上げられる機会が増えてきております。本研究会は今年で17年目になりますが、昨年8月30日に開催された学術集会は30回の節目を迎え、大盛会のうちに終わりました。

昨今は資材と人件費の高騰があり、どうしても避けられない時代の流れのなかで、本研究会の使命を果たすことを第一に考え、諸先生方や事務局のご指導を賜りながら、年2回の集会のうち1回は、これまで通りの一般演題を含めた学術集会、そしてもう1回は、今年の4月に関東にて、お世話になっております協賛企業様と共催で講演会形式の集会を行うことにいたしました。遠方からもご参加いただけるようにオンライン配信も行います。また、2025年度からは年会費を値上げいたしましたので、会員の皆様に還元できるような研究会事業の拡大をしてゆきたいと考えております。具体的には、健診での血清亜鉛値測定を促す「血清亜鉛値測定啓発リーフレット」の制作、第2回市民公開講座の開催、研究会主体の多施設共同研究、地域での支部会開催の推奨などを行う方針でございます。世話人の先生方には、今後もいろいろとご協力を賜りたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

機関誌『亜鉛栄養治療』については、研究会発足時に宮田 學先生が創刊され、今では歴史ある機関誌となっております。今後は年1回の発行となりますが、神戸 大朋先生、内田 季之先生を中心に編集委員の先生方、世話人の先生方のご協力のもと、査読の上での原著論文、そして新しい企画を盛り込み、より充実した内容となるよう尽力しております。機関誌が刊行できることも、会員の皆様、世話人の先生方はもちろんのこと、研究会を支えてくださっている協賛企業様など、皆様のお力添えのお陰であると思います。

今後は、高齢化と疾患構造の変化、治療薬の進歩により、亜鉛欠乏症はさらに増加すると予想されます。特に、亜鉛と栄養の関連はこれからも注目されるテーマであり、世界的にみても、気候変動や政情不安による食料供給の不安定化に伴い、亜鉛の摂取不足を来す可能性が高いと思われます。すでに日々の臨床においても、血清亜鉛値の低い患者さんが多いことが実感されます。本研究会では、基礎・臨床・栄養の側面から亜鉛についての理解を深め、最新の動向を把握し、新たな研究に繋げてゆくことを目的としています。また、各分野の先生方同士で活発に情報交換をしたり、懇親会の場においては基礎医学者と臨床家の垣根や世代をこえた交流をモットーとしております。研究会で得た知見を、日々の臨床現場で患者さんにフィードバックできるように、より良い医療の貢献につながればと考えております。

最後に、研究会を支えてくださっている事務局の京都通信社の皆様に心より感謝申し上げます。また、新しい年が会員の先生方にとって実りある充実した年になることを祈念し、年頭のご挨拶といたします。

本年もご指導の程、どうぞよろしくお願い申し上げます。

  • 2026(令和8)年1月吉日
  • 日本亜鉛栄養治療研究会
  • 会長  川口 雅功

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